ナガエツルノゲイトウとは?なぜ危険?駆除が難しい理由と見つけたときの対処法

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※2026年10月16日時点の情報です。

「地球上最悪の侵略的植物」とも呼ばれるナガエツルノゲイトウが、各地で問題になっています。

2026年10月7日、テレビ朝日系のニュースでは、千葉県の印旛沼周辺でナガエツルノゲイトウが9月の大雨によって流され、群落が姿を消した様子が報じられました。

厄介な植物がなくなったのなら、問題が解決したようにも思えます。

ところが、そう単純ではありません。

ナガエツルノゲイトウは、ちぎれた茎や根から再び成長する植物です。流された先で新たな群落を作り、かえって生育範囲を広げるおそれがあります。

では、この植物はなぜそれほど危険なのでしょうか。

どこに生えていて、もし自宅近くで見つけたらどうすればよいのでしょうか。

農林水産省や環境省、自治体の資料をもとに、その特徴と被害、正しい対処法を整理します。

ナガエツルノゲイトウとは?どんな植物?

ナガエツルノゲイトウは、南アメリカ原産のヒユ科の多年草です。

日本では1989年に兵庫県尼崎市で定着が確認され、現在は各地の河川や水路、ため池などで生育しています。

水辺に生える植物ですが、水中だけでなく陸上でも生育できるため、水田や畑などに入り込むこともあります。

環境省は、ナガエツルノゲイトウを外来生物法に基づく「特定外来生物」に指定しています。

これは、生態系や農林水産業などに被害を及ぼす、または及ぼすおそれがあるとして規制されているためです。

見分け方は?花や葉にはどんな特徴がある?

ナガエツルノゲイトウには、次のような特徴があります。

  • 白い球状の花をつける
  • 葉が茎の節から2枚ずつ向かい合って生える
  • 葉は細長い楕円形で、先がやや尖る
  • 茎の内部が空洞になっている
  • 茎が水面や地面を這うように伸び、節から根を出す

花は主に春から秋にかけて見られます。

ただし、似た特徴を持つ植物も存在するため、白い花や葉の形だけで断定することはできません。

正確に確認したい場合は、農林水産省や環境省の写真付き資料を参考にするとよいでしょう。

参考:農林水産省「ナガエツルノゲイトウの見分け方」

ナガエツルノゲイトウはなぜ危険なのか?

ナガエツルノゲイトウが問題視される最大の理由は、繁殖力の強さと、人間の活動や生態系に与える影響です。

人を直接襲う植物というわけではありません。

しかし、短期間で広い範囲を覆い、農業や水路の機能に影響を与えることがあります。

ちぎれた茎や根からでも再生する

特に厄介なのが、植物の断片から再生できる性質です。

農林水産省の駆除マニュアルによると、数cmほどの茎の断片からでも容易に根を出すことがあります。

日本では基本的に種子を形成せず、主に茎や根の一部から増殖しています。

一般的な雑草のように地上部分を刈り取るだけでは、十分な対策になりません。

地中や水底に残った根から再生することがあり、切断された茎が流されると、別の場所で増える原因にもなります。

なぜ大雨や台風で被害が広がるのか?

2026年10月7日のテレビ朝日系の報道では、千葉県の高崎川で、台風に伴う大雨の後にナガエツルノゲイトウの群落が姿を消した様子が紹介されました。

植物が消えたように見えても、枯れたとは限りません。

ナガエツルノゲイトウの茎はちぎれやすく、水に浮く性質があります。

そのため、水流によって下流へ運ばれ、流れ着いた場所で根を出す可能性があります。

報道では、印旛沼への流入や排水ポンプ場への影響も懸念されていました。

つまり、ひとつの場所から植物がなくなっても、流域全体では分布拡大につながることがあるのです。

参考:テレ朝NEWS「豪雨で“消えた最悪侵略生物”どこに?」、農林水産省「ナガエツルノゲイトウの駆除対策」

農業や河川にはどんな被害が出る?

ナガエツルノゲイトウの影響は、見た目の問題だけではありません。

農作物の栽培や、川・水路の管理にも関係しています。

農作物の生育や農作業への影響

水田や畑に入り込むと、農作物と光や養分などを奪い合います。

また、密集した茎や根が農業機械の作業を妨げることもあります。

除去しても再生するため、防除のために継続的な作業が必要になる場合があります。

水路をふさぎ、排水機能に影響する

大量に繁殖すると、水路をふさいで水の流れを妨げることがあります。

特に、農業用水路や排水施設では、植物がスクリーンなどに詰まることで施設の管理に支障が生じます。

大雨の際には、流された植物が別の施設に集まることも懸念されます。

在来植物や水辺の生き物への影響

ナガエツルノゲイトウは水面を広く覆うことがあります。

そうすると、もともと生育していた水生植物に届く光が減ったり、生育場所が奪われたりします。

特定の外来植物が優占することで、地域の生態系にも影響を及ぼすおそれがあります。

ナガエツルノゲイトウは日本のどこに生えている?

ナガエツルノゲイトウは、関東地方以西から南西諸島を中心に広く分布が確認されてきました。

農林水産省の2025年改訂版マニュアルでは、従来の分布地域に加え、新たな侵入地域の情報も整理されています。

福岡県大牟田市の2026年10月6日最終更新のページでも、市内の河川で初めてナガエツルノゲイトウが確認されたことが伝えられています。

確認されたのは同年9月です。

このように、新たな地域で確認される事例もあります。

ただし、ある都道府県で確認されているからといって、その地域全体に広く繁殖しているわけではありません。

近隣の生育状況を知りたい場合は、自治体が公開している外来生物情報を確認してください。

参考:大牟田市「ナガエツルノゲイトウにご注意!」、農林水産省「ナガエツルノゲイトウの駆除対策」

ナガエツルノゲイトウを見つけたらどうすればいい?

近所の水路や池で、それらしい植物を見つけた場合は、どうすればよいのでしょうか。

まず大切なのは、不用意に刈り取ったり、別の場所へ運んだりしないことです。

自分でむやみに抜き取らない

ナガエツルノゲイトウは、茎や根の小さな断片から再生します。

十分な準備をせずに抜き取ったり刈り取ったりすると、植物の断片を周囲に散らしてしまう可能性があります。

特に河川や水路では、ちぎれた植物が水に流れることで分布拡大につながるおそれがあります。

なお、駆除行為そのものが一律に禁止されているわけではありません。

ただし、特定外来生物の保管・運搬などには法令上の規制があり、防除作業には適切な管理と処分が必要です。

写真と発見場所を記録して自治体に相談する

似た植物を見つけた場合は、安全な場所から写真を撮り、発見場所を記録しておくと役立ちます。

そのうえで、市区町村の環境担当部署や河川管理者に相談してください。

実際に大牟田市も、疑わしい植物を見つけた場合は市の環境保全課へ連絡するよう呼びかけています。

河川や水路には危険な場所もあるため、写真撮影のために水辺へ無理に近づかないことも大切です。

持ち帰って育てることはできる?

ナガエツルノゲイトウは特定外来生物に指定されています。

そのため、栽培、保管、運搬、譲渡などは原則として規制されています。

珍しい植物だからといって持ち帰り、家庭で育てることは避けてください。

なぜナガエツルノゲイトウの駆除は難しいのか?

ナガエツルノゲイトウは、地上部分だけでなく、根を含めて適切に除去する必要があります。

農林水産省によると、根が50cm以上の深さまで伸びることもあり、地上部分を刈り取っても再生することがあります。

また、除去の際に残った断片や、上流から流れ込む植物によって、再び繁殖する場合もあります。

そのため、専門的な防除では、根を含めた除去、断片の流出防止、回収した植物の適切な処分、再発生の確認などを組み合わせます。

農林水産省は、2025年3月に改訂した駆除マニュアルを公開しています。

一度広い範囲に定着してから取り除くよりも、早い段階で発見し、適切な防除につなげることが重要です。

参考:農林水産省「ナガエツルノゲイトウの駆除対策」

私たちにもできる対策はある?

ナガエツルノゲイトウの問題は、行政機関や専門家だけが関わるものではありません。

地域住民が早い段階で異変を見つけ、正確な情報を届けることも、対策につながります。

ただし、発見した植物を自分で抜き取ったり、別の水辺へ移したりするのは避けましょう。

また、植物が大量に繁殖している水路を見つけても、危険な場所へ入って確認する必要はありません。

安全な場所から状況を確認し、河川管理者や自治体へ連絡することが重要です。

ナガエツルノゲイトウは見た目以上に厄介な植物

ナガエツルノゲイトウは、白く丸い花を咲かせる、一見すると普通の水辺の植物です。

しかし、茎や根の断片から再生する性質があり、大雨などで流された先へ広がる可能性があります。

さらに農作物の栽培、水路の排水機能、在来の水生植物などにも影響を与えるおそれがあります。

2026年10月に千葉県で報じられた事例は、植物の群落が姿を消したからといって、必ずしも問題が解決するわけではないことを示しています。

身近な水路や河川で似た植物を見つけた場合は、むやみに除去せず、発見場所の情報を自治体などへ伝えることが、被害拡大の防止につながります。

参考資料

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